第11話 障壁の検証② Phase Transition
前回の実験で、エフィアの空間魔法が音を遮断し、真空状態を作り出していることが判明した。
YUKIはその現象に強い関心を示し、空間魔法の原理をもっと詳しく調べたいと提案する。
「なぜエフィアだけが空間魔法を使えるようになったのか」「詠唱の意味は何なのか」
その答えは、エフィアが幼少期に出会った古い本にあるかもしれない。
一行はエフィアの実家があるクバヨランの村の中心部へ向かうことにした。
ロッジ牧場からクバヨランの村の中心部まで、のんびりと歩いて1時間ほどの道のりだ。
エフィアの実家は村でも有名なパン屋で、朝の香ばしい匂いが村中に漂っているという。
道中、エフィアは幼い頃の記憶を辿りながら話し始める。
「あの本には不思議な図形がたくさん描かれていて、文字も普通のものとは違っていた」
「お父さんもお母さんも読めないって言ってたけど、わたしはずっと読んでいた」
「絵もあったので勝手に言葉をつけたり、いろいろ試したり、眺めたり・」
村の中心部が見えてきた。石造りの建物が立ち並ぶ中に、煙突から白い煙が上がっているパン屋が見える。
久しぶりの実家への帰宅に、エフィアの表情も少しうれしそうだ。
パン屋の奥の部屋で、古い本を探し始める一行。
エフィアの記憶では、屋根裏の古い木箱の中にあったはずだ。
埃をかぶった箱を開けると、確かに見慣れない装丁の古い本が見つかった。
表紙には複雑な幾何学模様が刻まれており、開くと見たこともない文字で書かれている。
「これよ、この本!字もわからないけど、勝手に真言の書と呼んでいるわ」
YUKIが本を手に取り、ページをめくりながら興味深そうに観察する。
すると、あるページに見たことのある数式や図形が見えた。
「これは...エネルギーや相転移の図式?いや、でも見たことのないものがほとんど」
「言葉はどの国のものでもない・・・ぬるリンこの本スキャンして解析してみて」
knowledge of マメ
物質の状態変化と相転移
物質の4つの基本状態:
• 固体:分子が規則正しく並び、振動のみ(氷、金属など)
• 液体:分子が自由に動けるが密度は高い(水、油など)
• 気体:分子が自由に飛び回り、密度が低い(空気、水蒸気など)
• プラズマ:電子が原子から離れた高エネルギー状態(太陽、蛍光灯など)
相転移(Phase Transition):
• 温度や圧力の変化により物質の状態が変わる現象
• 融解(固→液)、気化(液→気)、昇華(固→気)など
• エネルギーの吸収・放出を伴う(潜熱)
真空と物質:
• 真空は「何もない空間」ではなく「極めて密度の低い状態」
• 完全真空は理論上の概念で、実際には量子的ゆらぎが存在
• 気体→真空への急激な状態変化では大きなエネルギー変化が起こる
エフィアの空間魔法は、空間内の物質を異なる状態に強制的に変化させているのかもしれない!