第10話 障壁の検証① ∂²p/∂t²=c²∇²p
1週間ほどエフィアの離れに滞在し、各々のQ-lio内部で生活がスタートした。
いつものように朝食のパンとミルクを頂きながら情報交換をする。
この世界は、イストリア大陸と呼ばれており、KENZOが訪れたこのあたりで一番大きな町はドゥーンの町ということが分かった。
しばらくは、このクバヨランの村が拠点となるだろうが、一度障壁について調べたいとYUKIが申し出る。
ロッジ牧場からQ-lio障壁までは小1時間くらいの距離だった。
YUKIが考えている様子で、それならばと一行は一番最初のQ-Lioの障壁の通り道へ行くことになった。
今は一時的に開いていた道は閉じている。
KENZOが「やっぱ向こうには行けえねえか・・」と呟く。
YUKIがあの時と同じようにエフィアの空間魔法を展開し、障壁との干渉を見て見たいと言い出す。
エフィアは「あの時は野犬に襲われてパニックになっていたから・・」と記憶を振り返る。
そして詠唱が始まった「・・・無の気配、透明なる障壁、真言を取り込み空間を折り畳め・・・」
空間魔法が展開されるが、障壁には干渉するどころか全く影響を及ぼしていないようだ。
YUKIが冷静に観察している中、興味深い現象が起こり始める。
どうやら、エフィアの結界内からは音が聞こえないようだ。
YUKIが結界に近づき結界を調べる。コンコンとするが物理的に壁がある。
そして中に薄い透明の固体の層もわずかに見える。
「ん?これは状態変化を起こしているの?真空の層?あの薄い固体の層は?」とYUKIが独り言を呟く。
そういえばエフィアは精霊は制御できず、暴走するって言ってたっけ?と思い出す。
エフィアの空間魔法について、もっと詳しく調べる必要があることがYUKIには見えてきた。
「・・・無の気配?真言?」詠唱の内容にも、なにか手掛かりが見つかるかもしれない。
「・・・うーん」 (おーい、そろそろ、出してくれー)
knowledge of マメ
音が伝わる仕組みと波動方程式
音の正体:
• 音は空気などの媒質の分子が振動することで伝わる「縦波」である
• 音源が振動すると、周囲の空気分子を押したり引いたりして密度の変化を作る
• この密度の変化(圧縮と希薄)が波として周囲に伝播していく
真空と音:
• 真空は音を通さない!音は媒質(空気、水、固体など)がないと伝わらない
• 宇宙空間で叫んでも聞こえないのはこのため
• 光は電磁波なので真空中でも伝わるが、音波は物質の振動なので媒質が必要
波動方程式(音波):
• ∂²p/∂t² = c²∇²p (pは音圧、cは音速、∇²はラプラシアン演算子)
• この方程式は音圧の時間変化と空間変化の関係を表している
• c²は音速の2乗で、媒質の性質(密度と弾性率)によって決まる
• 固体では音速が速く、気体では遅い(鋼鉄:約5000m/s、空気:約340m/s)
エフィアの結界が音を通さないということは、内部に真空状態ができている可能性が高い!