第2話 Q-lio内部 I₁ + I₂ + 2√(I₁I₂)cos(δ)

障壁から微かに聞こえた助けを求める声。10年間完全に沈黙を守ってきたQ-lioの向こう側から、ついに人の声が届いた。
YUKIの計測機器は急激な変化を示している。障壁の干渉パターンが変動し、まるで何かが内側から透過性を生み出そうとしているかのようだ。
これは科学者としての長年の夢が叶う瞬間なのか。それとも、未知の危機の始まりなのか。
配達員KENZOと共に、YUKIは歴史的瞬間の目撃者となろうとしていた...


ぬるリンψのセンサーが示す数値は、科学の常識を覆すものだった。
完全遮断を誇っていた障壁が、徐々に透明度を増している。まるで霧が晴れていくように、向こう側の世界が姿を現し始めた。
そこに見えたのは、見慣れたアメリカの荒野とはまったく異なる風景だった。
緑豊かな草原、そして—一人の少女が野犬の群れに追われている姿。
KENZOの本能が告げている。これは見過ごせない状況だと。
YUKIの理性は警告を発している。科学的に説明のつかない現象に飛び込むべきではないと。
しかし二人の判断は一致した。今、助けを必要としている人がいる—それだけで十分な理由だった。


野犬の群れが去った後、三人は互いを見つめ合った。
KENZOとYUKIにとって、efiaの存在は「魔法」という概念が実在することの証明だった。
efiaにとって、二人の存在は「外の世界」が本当に存在することの証明だった。
Q-lioの障壁は、二つの世界を隔てる境界線だったのだ。片方は科学が支配する現代地球、もう片方は魔法が息づく異世界。
そして今、何かのきっかけでその境界が揺らぎ始めている。
YUKIの計測機器は、光の干渉パターンが安定してきたことを示していた。
完全な破壊的干渉から建設的干渉へ—まるで二つの波が共鳴し始めたかのように。
何か大きな物語の始まりを告げているような予感がした。

knowledge of マメ

光の干渉現象と障壁の透過
光の干渉式:
• 二つの光波が重なり合うときの強度:I = I₁ + I₂ + 2√(I₁I₂)cos(δ)
• I₁, I₂:各光波の強度
• δ:位相差(波のズレ)
建設的干渉:
• δ = 2nπ (n = 0,1,2...) のとき光が強め合う
• 波の山と山、谷と谷が重なる状態
• 結果:明るく見える、透過率が上がる
破壊的干渉:
• δ = (2n+1)π のとき光が打ち消し合う
• 波の山と谷が重なる状態
• 結果:暗く見える、遮断される
Q-lio障壁の変化:
• これまで:完全な破壊的干渉状態(何も通さない)
• efiaの空間魔法が障壁を変化させた可能性が高い!

前へ | 次へ | ホームに戻る